恋する季節 6 

 彼女のオールヌードは実ははじめてで……僕はその形よくプリプリした胸を支えると先を揉みほぐした。
「やぁん、気持ちいい」
「すっげピンク色してる」
「も、えっち」
「本気だよ。珍しくないか? こんなに鮮やかなの。なんかアレみたいだ、ん、生姜の芽」
「……なぁに、しょうがぁ?」
彼女は声を荒げた。気分の高まりを隠せないまでも、ちょっとバカにしないでよ、みたいな口調だった。僕は少し指の動きを緩めた。
「違うって、新しいやつだよ。芽の付け根がどぎついピンク色してるじゃん」
「なんで……男の癖にそんなの知ってるの」
「オレ、結構好きなんだ」
「食べるの?」
「酒のつまみになるだろ」
「あんなのが? も、へんなの、キョ−スケってば」
「お前こそ女の癖に見たことないのか」
「知らないもん」
へー知らないんだ、新生姜。象牙がかったクリーム色の本体からピュッと飛び出た根元の赤い芽……あれもなんかエロいけどな。
「ま、あれほどじゃないにしても桃より濃いじゃん。お前、なんか塗ってんの?」
「やぁだぁ、なわけないでしょ。明かり消してよ」
「ダーメ」
「もぉ、やらし〜ぞ。乳首フェチだった?」
……嫌いな男はいませんよ。僕は再び指をくにくに回しはじめた。
「あ……ん、またっ」
稲垣は軽く肩を動かした。内部の僕にその動きが伝わってくる。それは指の腹だけでは感じ取れない、小さな乳首に通った神経の興奮度を知るバロメーターでもあるのか。
「だめ、胸だけでいっちゃいそう……ああ……」
稲垣は色っぽい吐息を吐いて僕の手を乳首から外した。熱い指先。ハアハア肩を動かしてる。仕方なく僕はその手を結合部付近に下ろし裂け目を撫でた。もうぬるぬるになっている。
「んっ」
いきのいい体がビクッと張った。その指で今度は内股をさする。
「ああ、いい」
稲垣は背筋を伸ばして僕に顔を寄せ、子猫のように頬擦りした。甘えた仕種……ついキスをしてしまう。
「んっ、ん……」
リズムにそって伸びやかな裸体に指を這わせ、両手でももを撫でてゆっくり開かせると稲垣はやや前のめりになって胸を突き出した。
「はぁ……あぁ……」
股を愛撫しながら三本の指でクリをそっと覆う。それぞれを微かに動かしながら最も感じやすい先っぽを指の腹で軽く刺激したり、そこに指を引っ掛け上下左右にくちゅくちゅ動かすと稲垣はその加減に応じてあんあん喘いだ。体がビクンビクンして中の僕もきゅーと締め付けられる。気持ちいい……。徐々に突き上げようと更に体を密着させ両手を乳房に持っていくと、白い手が伸びてきて弱々しい力で遠ざけた。さっきの話が気に入らなかったのか……。僕は再び両手を下げ二人がつながってる周囲の溝を指でなぞった。
「うくっ、あ……」
ぴちゃぴちゃ音がしてぬとぬとの愛液が糸を引いた。陰微な匂いが鼻孔をくすぐる。
「はあ……気持ちいい、もっとやって」
そうやって彼女は僕の腕の中で悶えしばらく体を許していたが、舌で耳の中を拭った瞬間飛び上がりそうになった。
「あ、だめ、そこ、いやっ」
僕は左手で再び胸を掴み、右手の人差し指と中指を口の中に突っ込んだ。
「ぐっ」
下と同様に指も粘液に浸され、その生温かさと触覚が僕に何か太古の記憶のようなものを呼び起こさせる。
「ぅぐっ、ぐぐ……」
舌と奥歯を乱暴に刺激するとだ液が溢れ、のけぞった稲垣は狂ったように首を振るが下半身と胸の快感には勝てない。
「ああああああ」
更に、指を噛まれないよう力を込めて舌を押さえ付ける。大動物の呼吸音のような低い原始的な奇声が響いた。
「稲垣、お前、専務ともやってるだろ」
こういう体勢になると悪さをしてみたくなるのは本能なんだろう。喋れない稲垣に僕は言った。
「専務に何て言って迫ったか聞かせろよ」
「うう、いやっ」
稲垣は激しく首を横に振ろうとした。が、その何倍もの力で押さえ付けられてぎくしゃくした動きにしかならない。
「ま、別にやましくはないよな、専務も独身だから」
僕はまた耳を舐めた。稲垣はもがき逃れようとするが、口と胸と膣を押さえ込まれ感じるだけ感じるしかない。僕は胸を愛撫しながら挿入を深めたり角度を変えたりしてその感度を維持し、彼女は何度もびくびく震えた。
「あ、はぁっ」
突然、上半身を解放されて稲垣は息を吹き返した。が、つかの間、僕は稲垣の両手をとりそのまま仰向けになった。
「ああ、あ……」
「まだいってないだろ、中が」
ぐいと引っ張ると稲垣は悲鳴をあげた。そしてわめきながら自ら腰を振り、ももを擦り寄せる。深く突き刺さったそれの快感を更に味わおうと身をよじらせるのだ。
「ああ、ん、ああ、あ」
先ほど彼女が言ったとおり、その声は通常のレベルではなかった。僕は時折突き上げながら便乗し、後ろから見ていた。
「うっうっ、く……」
ももをきつく閉じたり力を抜いたり、その様は失禁をこらえているかのように極めて生理的、本能的である。同時に肉管の収縮も高まり、ものすごい圧力が一点に加わり続ける。イコール僕の肉棒の快感。ぐりぐりぐりぐり圧しあって稲垣を操っていた力と快楽は頂点に達し、遂にそれを押し出した。
「あっ……」
稲垣は最後股間をこわばらせて僕の射精を受けた。それこそ全身を貫くような架空の亀裂が走ったのだ。すぐにふっと力が抜け、ぐったりうなだれる。僕も一瞬頭が飛んだ。

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